ビフォアサンライズ

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 [DVD]

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 [DVD]

すーーーーげーーーーーよかったです。
電車で二十歳そこそこの男女が出会い、恋しちゃう話。でもそれは一晩限りの関係なのであった…
てこう書くとあんまりよくないけど、ほんっとに素晴らしかった。
この映画は、特に何かが起こるわけではなくて、出会って別れるまでの一晩の間の二人の会話でずっと進んでいくので、だから、会話がほんとに素晴らしい。起きる出来事もすべては会話のための出来事で。言葉ですべて説明しちゃう映画なのかっていうと、そういうわけではなくて、言葉に頼らない映像だけでちゃんと大事なこと伝えるとこもたくさんあって、ほんとにいろいろもう最高でした。あざとくないし。
電車の食堂でご飯を食べているときに、男が3歳のときに見た不思議な話をきれいな目でまっすぐ女を見ながら話すシーンがあって、それだけで、今までおちゃらけてたアメリカ人だった印象が一気にいい意味でロマンチストな好青年にかわる。それは私も思ってるし、女だって思ってる!
夜の街で、路地のベンチに座って女が「私は宗教は信じないけど、もし神様がいるならそれは、人と人との間の空間にいるんだと思う。そしてもし魔法があるとすれば、それは人が理解し合おうとする力のこと。わかり合えないかもしれないけど、そう努力すること。」というようなことを男にいう(自分の中でだいぶ解釈かえてるかもしれないからこれ正しくないかも)。
そのあとのシーンが、食堂でいろんな人種の人たちが、それぞれ小さなテーブルをはさんで、ある人は活発に、ある人はトランプをしながら、ある人はゆっくり穏やかに、ある人は手紙を、それぞれ人の話をきいたり自分の意見をいったりしている。字幕はなく、ガヤガヤした音とともに。これって、これってもうそれは魔法ですよっていう話で、うわ、って思った。そうだよ魔法だよって。ここにすげーグっときた。なんなんだろうね、でも私もそれ魔法だとおもう。とても大事なことですよ。
最初、どうして二人が知り合うかというと、電車内で夫婦喧嘩してる人がいてそれがうるさいから席移動して、隣同士になるんだけど、この夫婦、魔法つかえてないよね。そりゃだめだよ。簡単なことなのに!簡単なことなんだよ。でも私もそれができない。だからつらい。
あと教会で、男がある宗教の結婚式について女に説明する。
新郎と新婦が、みなに見守られながらお互いをじっと見つめ合い、そのまま一時間見つめ合い、そのまま結ばれる。って静かな教会で、またまっすぐな瞳で女に言う。女は、美しいわ、すてきね、という。男はじっと女の目を見つめる、女もみつめる、でも、女はフっと笑って目を落としちゃう。ここでもう全部、終わっちゃう。これから何があってもこの二人、結ばれないって、私は思った。なのでこのシーンほんとに悲しかった。結局ずっと、男はロマンチストだから、結ばれたいってずっと願っているんだけど、女は現実的だからあきらめちゃってる。この関係がほんとに悲しかった。
タイトルもいいですよね。朝がくるまで。悲しい!うう!なんかほんっとに何から何まですばらしかったです。最高に好き!